夏の終わり〜かりそめの恋人が、再会したら全力で迫ってきました
「亜梨沙さん、あなたに相応しいのは私ですよ」
背後で叫ぶ東海林さんの声に、理玖は腹立たしげに呟いていた。
「お前じゃない」
エレベーターの中で無言だった理玖に連れられた場所は、先程通り越しに囁いた部屋の前だった。
「入って」
ドアを開けて、私が中に入るのを待っている理玖の表情は、強張っていた。
部屋に入るなり、背後から覆い被さる理玖によって、身動きが取れなくなる。
帯が邪魔なのか、私の肩を抱き抱えている。
その間、背後のドアは大きな音を立て閉まった。
うなじに理玖の生温かい息遣いがかかり、体は、彼を覚えているらしく、奥底まで見事に反応していた。
「会いたかった」
言うやいな、体の向きを変えられ、また力強く抱きしめた理玖にキスされていた。
それは、優しいキスではなく、最初から、追い詰めるように口内奥まで激しく絡める舌技で、されるがまま腕の中で捕らわれていた。
大きく広い窓から見える夜景を目の前にして、私は、理玖に惑わされている。
忙しく、淫らなキスに乱される私。
なのに、目の前の男の目は、ちっとも欲情を孕んでいない。
冷静に、キスをしながら見つめている。