夏の終わり〜かりそめの恋人が、再会したら全力で迫ってきました

こくりと頷き返した。

「島で婚約者って言ったのは、まだ決まっていなかったけど、すでに、お爺さまが選んだ何人かが候補に入っていたからなの」

「その中から、一人に絞るってことだよな。まぁ、俺らの世界じゃ、それが普通だしな」

驚きもしないで淡々とした口調で、何かを考えるように会話が続く。

「あいつらと面識は?」

「今日が初めて」

「そうとなると、スタートラインは平等ってことか!篠原は婚約したから抜けるとして、俺に、千秋、勅使川原…後、東海林か。あの古狸、やってくれる」

「えっ、理玖が5人目になるの⁈」

嬉しくて、声が高くなる。

「今やっと気がついたのかよ。だが俺は、前に爺さんに久世のお嬢様の婚約者になる気はないって断った。なのに『あの爺さんは、なぜ、俺をお前に合わせたんだ?』」

最後の方は、考えるように顎を摩り、独り言のように呟いていた。

知り合う前のこととはいえ、本人の口から言われるとショックは大きい。

「何、落ち込んでるんだ?…お前が久世 亜梨沙だというなら、俺としては、立候補するに決まってる。どうせ、お前を見つけたら、婚約者から奪う気でいたしな。あいつらにお前を渡す訳ないだろう。安心して待ってろ」
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