夏の終わり〜かりそめの恋人が、再会したら全力で迫ってきました
左手を伸ばしてくる理玖に、誘われるまま彼の前に立つと、手を繋いできて指を絡めるので理玖を見下ろした。
私の目を見つめる理玖は、何かを決意した表情をした。
「爺さんは?」
「ラウンジで飲んでると思う」
「はぁっ、人を担ぎ出して祝い酒かよ⁈狸め。なら、先にお前の両親だな」
「えっ?なに?」
「先手必勝とはいかないけど、お前の両親を味方にできれば、こうして会うこともできる…はずだ」
語尾は自信無さげに小さくなっていた。
すると、バッグから聞こえる電話の呼び出し音。
腕時計を確認した理玖は『しまった』という顔をする。
「出た方がいいみたいだぞ」
絡めていた指を解いて、落ちている私の鞄を取ってくれた。
「もしもし」
『亜梨沙、今どこにいるの?』
お叱りの母の声だった。
「ごめん。ちょっと」
『ちょっとって、何してるの?お爺さまに聞いても知らないって言うし。もう少しでお見送りの時間だから、早く降りてらっしゃい』
私の手から携帯が無くなり、理玖が母と会話しだした。
「突然に失礼いたします。私、千堂 理玖と言います。お嬢様を足止めいたしまして、申し訳ございません」