夏の終わり〜かりそめの恋人が、再会したら全力で迫ってきました
『あら、えっと…千堂さん?』
一般人だった母には、千堂と言われてもわからないのだ。突然の、男性の声に驚いている。
そして、母から父へ
『千堂くん』
「はい」
父の声に、ピリッと背筋を伸ばした理玖。
『島での2人の経緯は、聞いている。再会に話が弾んだんだろう。だがね、亜梨沙は跡継ぎのお披露目をした。その意味がわかるね…僕としては、生半可な気持ちで娘に近づいてほしくないんだ』
「はい、もちろんわかっています。亜梨沙さんを思う気持ちには偽りはありません。ただ…」
『言い訳はいらないよ。娘込みの久世だ。気持ちだけで先に突っ走るのは若い証拠だろうが、よく、考えて行動するように』
「はい、肝に銘じます」
『すぐに、娘をこちらへ向かわせてくれ。君は娘とは別で行動してくれ』
「分かりました。今から向かわせます」
通話切った理玖が、頭をかき大きく息を吐いた。
そして、私を抱きしめて
「やばいな。俺の印象最悪だ」
と、つぶやいた。
「そうなの?そう聞こえなかったよ」
「俺たちの関係が筒抜けだぞ。こうしていちゃついてたのもお見通しだ」
「えっ、やだ。バカバカ…はずかしくて親の顔見れないよ。どうして電話に出るのよ」
理玖の腕の中で暴れた。