夏の終わり〜かりそめの恋人が、再会したら全力で迫ってきました
「理玖よ。わしはあやつのやり方は好かん。忠告したがのう…わしは平等でなければならん。そちと亜梨沙と恋仲だろうが、いざとなったら久世の為に鬼にならねばならん。婚約者候補として心してかかれよ」
「はっ」
「よい返事じゃ。そちには、爺さんと呼ばれる方がいいからの。御前と呼ばれるのは今回だけにしてくれよ」
ワハハと、腰に手を当てて部屋に戻っていった。
父は、母の背を押し祖父の後についていく。私と理玖の2人きりにしてくれるらしい。
「亜梨沙、今は詳しくは話せないが俺を信じて待っていてくれ」
「お父さんもお爺さまも知ってる風だけど、話してくれないのね」
「すまない。今は話せない」
「わかった。待ってるから」
「愛してる」
そういって、手をひいてきた理玖の腕の中で、唇を重ねた。
「私も理玖を愛してる」
そして、もう一度重ねた唇は離れがたく何度も甘く唇を重ね、お互いに名残惜しいように甘い吐息を吐いて離れた。
「行ってくる」
「行ってらっしゃい」
決意した理玖は振り返ることなく、待たせていたタクシーに乗り去ってしまった。
私は、見えなくなるまでタクシーを見つめ、理玖が苦境を乗り越えられるように祈るだけだった。