夏の終わり〜かりそめの恋人が、再会したら全力で迫ってきました
理玖が挨拶に来た翌日、家に千秋様からの連絡があった。
「明日の夜、ご一緒にご飯に行きませんか?」
「…はい」
理玖は、何やら仕事でトラブルに見舞われているというのに、常務という立場の彼は忙しくはないのだろうかと疑問に思いつつ、約束は約束なので行くことにした。
翌日、待ち合わせしたホテル内のレストランへ行けば、既に千秋様は席につき待っていた。
「お待たせして申し訳ございません」
「いえいえ、こちらの都合に合わせて頂いたのですから、先に来て待つのが当たり前です」
お互いにテーブルを挟んで立っての挨拶。
「どうぞ、おかけください」
そういい座るよう促し、横に控えていたウェイターが椅子を引いてくれた。
腰をかけ、ウェイターにお礼を言うと微笑み返す男性に、千秋様は、命令することに慣れてる様子でオーダーを頼む。
マナーを習っていても、こういうかしこまった場は初めてで、千秋様に言われるままおまかせになるが、彼は気にする素振りもなくオーダーしていく。
理玖なら、私の好みを確認してくれるだろうなと思いつつ、眺めていた。
婚約者候補に立候補してきた彼に、どう接していいか悩みながらの食事だったが、一切そこに触れてこない。