夏の終わり〜かりそめの恋人が、再会したら全力で迫ってきました
「私が小さい頃は、親戚の集まりが本家であると理玖と年が近いこともあり、よく遊んでいたものです。ですが、小学生に上がると、本家と外戚というだけで分をわきまえるよう言われるようになりました。理玖より目立ってはならない…そう言われ続け、私はずっとあいつの影に徹してきました」
上の空での会話が、理玖の名前が出た事で私は千秋様の話を真剣に聞きだした。
「ふっ…理玖の名前が出ると、私の話に耳を傾けるのですね」
図星なだけに、悲しそうに苦笑する千秋様に恐縮する。
「申し訳ございません。決して千秋様のお話がつまらないということではなく、ただ、私に婚約者候補に立候補するとおっしゃっていたので、どう接していいのかわからなかったのです」
「そうですね。私は理玖に遅れを取ってしまってますからね…あなたの気持ちは、理玖に向いているのでしょう!そして、あいつも。だけど、久世に興味はない。だからこそ、立候補することにしたのです」
「おっしゃってる意味がわかりません」
「大人達が褒め称えるのは、いつも手を抜いている理玖でした。それは、私が出過ぎた真似をしないように心がけていたからです。私は、それに不満はありませんでした。理玖を支えるつもりでいましたからね。ですが、あいつは千堂製薬に入社してから、跡継ぎとしての義務を放棄するように、興味がないと言いだしました」