夏の終わり〜かりそめの恋人が、再会したら全力で迫ってきました
理玖に相談しようにも、お互いの連絡先を知らないと言うことに今気がつき、頭の中をフル回転して悩んだ。
彼の思惑はどうであれ、祖父の前で婚約者候補に立候補した千秋様を蔑ろにはできないだろう。
「わかりました」
「お互いにとってウィンウィンの関係。あなたは理玖を、私は千堂製薬。交渉成立ですね」
握手を求められ、つい、その手を取ってしまった。
ぎゅっと握られた手、思わず顔が強張る。
「私は、貴方にこれっぽっちも興味はありませんから安心して会ってください」
初対面での好印象とはかけ離れ、はっきりと言われてホッとした反面、面と向かっての辛辣な言葉に、少し傷ついたのは決して好意を持っていたからではない。
「私も、貴方にこれっぽっちも興味はありませんから、貴方を好きになることはありません」
一瞬の間
「ぷっ、あはははは…」
「ふっふふふ」
お互いに笑い合い、手を離した。
そしてその日から、3日おきの頻度で千秋様と食事に出歩いて2週間で、噂はあっという間に広まっていた。
「千秋様、私の婚約者は貴方に決まったという噂が出ていると聞きました。理玖には連絡が取れないし、このままだと正式に貴方が私の婚約者になるんですよ。どうしてくれるんですか?」