夏の終わり〜かりそめの恋人が、再会したら全力で迫ってきました
「どうしましょうか?」
他人ごとのように聞き返す千秋様に、怒りが湧いてくる。
思わず、テーブルを叩いてしまったら、レストラン内の視線が集中し、すみませんと頭を下げることになった。
「落ち着いて」
「落ち着いてます」
ふんと、千秋様から顔を背けた。
「明日にでも、千堂製薬で大きな動きがあります」
静かな口調で話しだした千秋様を横目で見つめた。
「掃除をすると話しましたよね。役に立たない口うるさいだけの古株は、明日、慌てふためくでしょう。明日の役員会議が楽しみでなりません。明後日には、役員総入れ替えです。これも理玖の働きのおかげですね」
楽しそうに話す彼は、天使のように見えて、悪魔のようだ。
その彼の視線は、私の頭上を見て微笑んでいた。
「千秋、俺の亜梨沙と婚約をするって話は消えるんだろうな」
突然の理玖の出現に、体を拗らせ固まったのは理玖の怒りを感じたからだ。
「もちろん。私の欲しいのは千堂製薬だからね。君の彼女には奴らを油断させる為に協力してもらっていただけだよ」
「お前と2人で食事してたって聞いただけでも、腹立たしい。それ以上のことは何もないだろうな」