夏の終わり〜かりそめの恋人が、再会したら全力で迫ってきました
千秋様は理玖の怒りをひょうひょうと受け流し笑うだけなので、私が必死に首を縦に振り何もないと説明した。
「ふん、自分の手を汚さずに俺達をいいように使った借りは高いからな」
私の座る椅子の背を掴んで横に立つ理玖。
「亜梨沙さん、こんな男を選んで後悔しませんか?」
「しません」
理玖を見上げて彼の手を握った。
「そうですか。あなたとの時間はとても楽しかったので、このまま理玖から奪おうかと思ってましたが、残念です」
冗談なのか本気なのかわからない笑顔に、頭上で舌打ちする理玖は、握っていた手を引こうと力を入れる。
「あぁ、これは2人へのお礼です。久しぶりの2人の時間を過ごしてください」
テーブルに出されたカードキーをひったくり、理玖は「行くぞ」と私を引っ張っていく。
急に立ち上がらされ、足元がおぼつかないままついていくなか、千秋様を振り返ったら頬杖をつき、にこやかに手を振っていた。
何がなんだかわからないまま、エレベーターに乗ると、箱の壁に背を押し付けられて顎を摘まれると同時に、唇が塞がれ、強引に口内を蹂躙してくる理玖。久しぶりのキスに、会えなかった寂しさを埋めるように、自らも舌を絡ませて夢中になっていた。