シングルマザー・イン・NYC
手を尽くせば、帰国後に希和を探すことは可能だろう。
だが結局、縁がなかったということかもしれない。

そう思った時。

(ケイ)はあなたのことが本当に好きだねえ、アレックス」

俺は声のした方を見た。
数メートル向こう、ひらひらと舞い散る桜の花びらの中を歩いてくるのは――希和。

「そりゃそうだろ、これだけ熱心に育児してるんだから」

アレックス。
そして彼の腕の中には――嬉しそうにはしゃぐ赤ちゃんがいた。

俺は反射的に彼らの視界に入らないよう、木の陰に身を隠した。

――そういうことか。

希和とアレックスは本当に仲が良く、そばで見ていると嫉妬するほどだった。
結局、希和が選んだのはアレックスだったのか。
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