シングルマザー・イン・NYC
同い年の私たちは、里香ちゃん、希和ちゃんと呼び合っている。

これまでは、慧と二人きりの時以外は、アパートでもほぼ英語で話していた。
アレックスが同居していたから。

そしてナニーのマリアは、つい母国語であるスペイン語で慧に話すことが多いらしく、その結果、慧の言葉がどうなったかというと――英語とスペイン語を覚えはじめ、日本語はさっぱりなのだ。

だから里香ちゃんの同居は、慧の日本語学習の面でもとても助かる。
私と里香ちゃんが日本語で会話するので、慧も自然と日本語を覚えていくだろう。

車は郊外に出て、辺りには広い庭付きの一軒家が見えるようになってきた。
マンハッタン中心部から少し離れただけで、随分と雰囲気が変わる。
少しして私たちは、ウェイブ・ヒルに着いた。

ハドソン川沿いのなだらかな丘に広がる、美しい庭園。
対岸にはニュージャージーが見える。

私たちを迎えてくれたアレックスとジェイクは幸せいっぱいの笑顔で、タキシードを着たアレックスはいつもよりさらに男前だ。

似合うなあ。

黒髪に茶色い瞳のアレックスに対して、ジェイクは金髪。きれいなグリーンの瞳が印象的だ。

ニューヨーク州で同性婚が認められて十年あまり。
もちろん多数派ではないけれど、同性カップルはあちこちで見かける。

サロンにくるお客さんによると、彼女の娘さんのクラスには、お父さん&お父さん、お母さん&お母さん、の保護者がいるそうだ。
< 114 / 251 >

この作品をシェア

pagetop