シングルマザー・イン・NYC
「えっ、篠田さん弁護士さんなんですか!?」
「うん」
なんとなく自信ありげな態度なのは、だからか。
と思うのは弁護士に対する偏見だろうか……。
「留学ってもしや、国際弁護士になるというコースですか? すごいですね。私、日本の法律だってちんぷんかんぷんなのに、篠田さん、外国の法律まで……」
一体どういう頭の構造をしているのだろう。
「ちょっと勉強して資格取るだけだから。何とかなるもんだよ」
「そう言えるのは、選ばれた優秀な人だけですよ」
「そんなことない。勉強するのが人より得意なだけで。要領がいいっていうか。斉藤さんみたいに、腕とセンスで外国で長く働く方がすごいと思う」
「……照れます」
それに嬉しい。
「照れる? そんな必要ないのに」
篠田さんは笑い、また自分の話を始めた。
「今は久々の学生生活で比較的のんびりなんだけど、こっちの弁護士資格を取ったらしばらくニューヨークの法律事務所で働く予定で、そうするとかなり忙しくなる。割と仕事に没頭する方だし。それでも良ければ」
風がざぁっと、木の葉を揺らした。
「付き合ってほしい」