シングルマザー・イン・NYC

久しぶりに見る篠田さんの筆跡に、懐かしさがこみ上げた。

彼の不誠実さが許せなくて別れたはずなのに。

「『キワの息子』『彼女の息子』、って書いてあるでしょ」

「はい」

「そこから判断すると、キワの息子だけどイツキの息子ではない、と思っているんじゃないかしら?」

「たしかに、そうですよね……」

慧ことをとてもかわいいと思ってくれているのが文面から伝わってくるが、あくまで慧を「たまたま会った昔の知人(=私)の子供」としてみている感じだ。

私は何度か手紙を読み返した。
何かヒントがあるのではと探して――ヒントって、いったい何の?

篠田さんが、慧を自分の息子だと感じている気配?

それが私の望み?

やがてウェイターがパスタを運んできて、私は手紙をカミーユさんに返した。
そしてしばらくの間、私たちは食事に集中した。
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