シングルマザー・イン・NYC
思いがけない提案だった。
「会う? 私が篠田さ――樹とですか?」
「そう」
「彼は一国の大臣ですよ? そんな気軽に会えるわけ」
ないじゃないですか、と言いかけ、自分の浅はかさに気付いた。
カミーユさんは、政財界で圧倒的な力を持つデイビッドさんの妻だ。
この話を私にしているからには、手はずは整っているのだろう。
「大丈夫。イツキが宿泊しているホテルと部屋番号、きいてあるから」
まさか、その部屋に押しかけろというのだろうか?
「プラヤホテルよ。キワからホテルのフロントに電話して、イツキにメッセージを残せばいいわ」
意味がよくわからなかった。
「ええと、それはつまり……」