シングルマザー・イン・NYC

「はい、鍵」

コトリ、というくぐもった音と共にテーブルに置かれたのは、美しいシルバーのキーチェーンにつながれた鍵だった。

「プラヤホテルの私たちの部屋を使って。今、誰もいないから。同じ建物の中を移動するだけなら、イツキは人目を気にする必要がないでしょ。その辺は、フロントに頼めばうまくやってくれると思うわ」

「そんなに簡単にいくでしょうか……」

「大丈夫よ。『私たち(ローゼンタール夫妻)に会う』と伝えれば、同行している政府関係者も怪しまないでしょう? なんなら、彼を出迎える時だけ私が対応してもいいわよ。もしSPがついてきたら、その時に追い払うわ」

そう言って、カミーユさんはすみれ色の瞳をきらきらと輝かせたのだった。
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