シングルマザー・イン・NYC
「あっちには、マリアの作ってくれた、ビーフと野菜の煮込みがあるよ」

「そうなの⁉」

「俺たちの大好物だから。作ってもらった」

アレックスは得意げだ。

「お二人には、何度もお作りしましたねえ。レシピも教えしたけど、なぜだか上手く作れなくて……」

「ごめんね、マリア。物覚えが悪くて……」

「いえ、いいんですよ。今回はお義母様と一緒に作りました。レシピをお伝えしたら、ほとんど一人で完成させてくれました。賢い方ですね。キワは、お義母様から習ってください」

「……はい」

「ケーキは里香ちゃんだよ」

庭の中央に置かれたテーブルには真っ白なクロスがかけられ、その上には、紫色のエディブルフラワーがたっぷり飾られた、三段重ねの白いケーキが置いてあった。

「これも、篠田さんのご実家のキッチンで焼かせて頂いたの。もうね、すごい充実した設備。プロ顔負けって感じ。希和ちゃん、しっかりお料理習えると思う」

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