シングルマザー・イン・NYC
「え……」

私は絶句した。

そこに輝いているのは、ダイヤの指輪。

「結婚してくれないかな」

ちょっと、事態が呑み込めなかった。

「篠田さん、さっき私が独立する話とか……」

「うん、した。お互いの仕事と住む場所については考えないといけないけど、それは、希和に結婚を申し込まない理由にはならない」

篠田さんは一呼吸置いた。

「よく考えた結果」

――指輪を手にして真剣な表所の篠田さんと、言葉に詰まる私。

周囲の人たちが状況を察知し、まるで波紋のように、私たちへの注目が広がっていくのがわかる。
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