シングルマザー・イン・NYC
「もしあなたが良かったら、プライベートサロンの店長になってくれない?」

プライベートサロン? 店長?

「オーナーは私で、あなたが店長。一人だと大変だろうから、できればアレックスも一緒に来て欲しい。これ、簡単だけどプランをまとめたものよ。まずは目を通してみて」

カミーユさんはバーキンから取り出したファイルを差し出した。

これは受け取ってよいものだろうか……。
思わず横にいた母を見た。

「よくわからないけど、仕事に誘ってくれてるのよね? とりあえず資料は受け取って、それから考えたら?」

それもそうか。

「突然のことでどうお返事したらよいかわからないのですけど――資料は読ませて頂きます」

私はファイルを受け取った。

「ありがとう。キワ、いい返事を待っているわ。アレックスにもよろしく伝えて頂戴。今度改めて時間を取って、二人に詳細を説明させてもらうわ」

カミーユさんは優雅にコートを羽織ると、部屋を後にした。
< 81 / 251 >

この作品をシェア

pagetop