シングルマザー・イン・NYC
「じゃあアレックスは、乗り切ってことだね?」

「もちろん。こんなチャンスないよ」

「……私が店長でアレックスが副店長でも?」

「ノープロブレム」

「そこは、私はプロブレムなんだ」

「なんで?」

「業者との交渉とか、私の英語力では不足する部分があると思う。それに、美容師としての腕はそれなりに自身があるけれど、お店のマネージメントとなると……そいうのは、アレックスの方が得意だよね」

ケイ・タカヤナギでもアレックスは、事務的な細かいことで店長の右腕になっている。

「まあ、そうだけど」

「共同店長にしようよ。立場は一緒」

「……希和らしいなあ。でもそれだと、希和の取り分下がるよ? 店長になる以上、俺は同額の給料を要求するよ」

「うん。それでいい」

「じゃあ、交渉成立だな」

アレックスが手を出し、私たちは握手した。

篠田さんとの運命は重ならなかったのに、アレックスとの絆は深まるばかり。
縁は不思議だ。
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