シングルマザー・イン・NYC
『篠田、さっき送ってきた案でいい。あれで押せ。あれ以上譲歩してはだめだ』

「わかりました」

『明日もう一度交渉して、それで決めてこい』

「はい。そのようにします」

『今日はもう疲れただろう。解放してもらえ。それでたっぷり睡眠をとって、明日に備えろ』

「はい」


俺は久我先生と話した内容を、現地法人の重役たちと共有した。

これで明日決めるべきポイントは決まったし、あとはへまをせず速やかに交渉を終わらせるだけだ。

「では、皆さん。今日はお疲れさまでした。私はそろそろ失礼させて頂きます」

はやる気持ちを抑え、勤めて落ち着いて挨拶をすると、1ワールド・トレード・センターを後にし、タクシーを拾った。

行先はアッパー・ウェスト・サイド。
希和の部屋だ。
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