セカンドマリッジリング【コミカライズ原作】
「あと、もう一つ君に渡したいものがあって……」
颯真はそう言うとズボンの後ろポケットに手を入れて、何かを取り出しているようだ。その様子を黙って見ていた花那だったが、彼がその手を差し出したすとその目を見開いた。
彼の手の上にはリングケース、だがそれは花那の記憶しているものとは違っていた。
「これ、は……?」
戸惑いながらそう聞いてくる花那に颯真は少し照れくさそうに微笑んでそのケースを開いて中身を見せる。ケースの中にはダイヤモンドの散りばめられた美しいペアリング、やはりそれは花那が持っていたはずの結婚指輪とは違っている。
「セカンドマリッジリング、俺と花那の結婚五年目の記念。そして……これから本当の夫婦としてやっていく事への証として受け取って欲しい」
「いつ、こんなものを? それに私の指輪のサイズもよく覚えていたわね」
花那の手も声も震えている、嬉しさだけではなく言葉に出来ないほどの幸福をこうして味わえることに。それでも意地悪な事を言ってしまうのは彼女の照れ隠しなのかもしれない。
そんな花那の左手を取って颯真はリングをその薬指へとゆっくり通していく。
「妻の指輪のサイズくらい覚えてる、俺だってそこまで酷い夫のつもりじゃなかったんだ」
「ふふふ、今の颯真さんは素敵な旦那様よ。ああ、すごく綺麗……」
今度は花那が颯真の指へとリングをはめていく、お揃いのそれが互いの指でキラキラと光り輝いている。まるで颯真と花那の二人の未来を祝福するかのように……