セカンドマリッジリング【コミカライズ原作】
「着いたよ、ここに君のお母さんとお父さんは眠っている」
「え? ここにお父さんとお母さんが?」
花那の父の遺骨は納骨堂に納めたはずだった、あの頃の自分たちにはお墓を用意するお金などありはしなかったから。それなのに颯真はここに花那の父と母が眠っているという。
連れてこられたのはずいぶんと見晴らしの良い場所で、人気の霊園だと思われる。
「さあ、君のお父さんとお母さんに会いに行こう」
指定の駐車場に車を止めると、颯真は車を降りて花那の乗っている助手席のドアを開ける。彼女がまだ母の死を受け入れられずに戸惑っていることは分かっている、そんな花那に寄り添いたいと思ったのかもしれない。
「颯真さん、私……」
「大丈夫だ、俺が君のそばにいるから」
本音でそうありたいと颯真は思った、花那が辛い時には一番近くに居れる存在でいたい。強くあろうと無理をする花那を傍で支えてあげれたら……
ムクムクと育つ新しい感情に戸惑いながらも、それでも颯真の意思はハッキリとしていた。
「ありがとう、颯真さん。私、颯真さんに助けられてばかりね」
申し訳ない気持ちでいっぱいになりながらも、花那の心の中には嬉しいという感情が隠されている。そんな花那の気持ちを知ってか知らずか、颯真は彼女の手を握って歩き出した。