ひとつ屋根の下、憧れモテ王子は甘い愛を制御できない。
「しょーがねーな。じゃあちょっと休憩する?」
「え。山口くん言うほど作業してないのに。山口くんがそっち一個ずっと塗ってる間、私ここもここも塗ったし」
「あー、はいはいうるせー。だからお前のために休憩するって言ってんだろ。それ以上しゃべってるとまた腹鳴るぞ」
お、お前って!!
最近、織くんに「白井さん」って呼ばれ慣れてたせいで、そんなふうに呼ばれることにちょっとびっくりした。
織くんはわかりやすく女の子扱いしてくれるから。
って。わ、私ちょっと織くんのせいで感覚麻痺してる?
私みたいなのが女の子扱いされていたのがおかしいんだよ。山口くんの方が普通だ。
危ない危ない。
「ほら、立て」
「え、」
突然、山口くんが私の腕を捕まえてたまま立ち上がるので、その拍子で私の身体も床から離れる。
「は、ちょ、どこ行くの」
そんな私の声を無視して、山口くんは教室から出た。