ひとつ屋根の下、憧れモテ王子は甘い愛を制御できない。


たしかに、舞台を見たときにヤキモチを妬いちゃった。


けど、織くんが言うように、私は織くんとキスとかそういうことがしたいのかと聞かれたらわからない。


いや、そもそも考えたこともなかったから。
今初めて考える。


だってそういうことを織くんで考えるだけで罪じゃないか。


まって無理……ちょっと想像しかけたけど体のあらゆる場所から血が吹きだしてしまいそうだ。


刺激が強すぎる。


でも……。


広夢に恋していたとき、私はもっと必死で欲張りだったかもしれない。


もっともっとって。
私以外見ないでほしくて必死だった。


正直、寝ている広夢にキスしようとしたことも2、3回あった。


でも、私は、織くんにそういうことをしたいとは思わない。


それじゃあやっぱり、織くんが言うように私の気持ちは恋と呼ぶにはまだまだで、推しに対しての『好き』止まりなのだろうか。


そもそも自分が恋愛することがまだ怖い。


もし織くんと結ばれたとして、いつか幻滅されて別れることになったら?


それこそ、そんな日が来たら100%私が捨てられて泣く側で。


そんな辛い思い、したくないのが本音だ。


織くんを目の前に、好きなんて言ってもらってここまで思うなんて、わがままなのはわかっているけれど……。

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