ひとつ屋根の下、憧れモテ王子は甘い愛を制御できない。


愛菜さんも


「私も初耳!織!なんで言ってくれないの!今日はお赤飯炊かなくちゃ!え、誰なの!お母さん知ってる人かしら!その子、かわいいの?」


なんて騒いでいる。


当の本人、織くんは耳を真っ赤にしたまま俯いていて。


あの織くんがめちゃくちゃ照れている!とまただ新たな織くんが発見できて嬉しくなっているのと同時に、


俯いたままの織くんを見てハッとする。


あぁ、これは、まずい。
騒ぎすぎたかな……。


愛菜さんと目が合って、お互いに「やっちまったかも」って顔をしていたら、


顔を上げた織くんが、恥ずかしそうに言葉を発した。


「……同じ学校の子……すごくかわいい、けど、2人にはまだ言わない」


「っ、」


な。


え。


あ。


ちょ。


「な、あの愛菜さん、ティッシュ取ってもらっていいですか、」


「え、初花ちゃ……まぁ大変!!」


慌てて愛菜さんが私にティッシュ箱を差し出してくれて。


垂れてくる前にすぐに鼻にティッシュを詰めた。


……えぇーー人間って興奮したら本当に鼻血が出るんだなー。

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