エリート脳外科医は政略妻に愛の証を刻み込む
「こんなに細いのに体重を気にする必要はないだろ。むしろ増やした方がいいんじゃないか?」

「お洋服が入らなくなったら困ります……あっ!」

肩を押され、友里の背中は再びシーツの上だ。

唇を奪われ、水音が立つ。

なんとか顔を横に背けてキスから逃れると、雅樹を止めようとした。

「雅樹さん、待って――」

けれども彼の唇に追いつかれ、さらに濃密に舌をからめとられた。

「んふっ……」

合わせた唇の隙間から漏れる友里の声も、徐々に色を増す。

同時に体をまさぐられ、満ち潮のように快感が押し寄せたら、友里はとうとう抵抗する気力を失った。

いつの間にかネグリジェも下着もベッドの下だ。

ビクビクと体を震わせた友里を、半裸の雅樹が満足げに見下ろしていた。

「いい声が出るようになったな」

友里の目が潤むのは、高みに上らされたからなのか、それとも愛されたいと心が泣いているせいなのか。

(雅樹さん、この手に愛情はありますか……?)

器用な手に翻弄されながら、心の中で問いかけた友里であった。



結婚して半年の審判の日まで、二週間を切っていた。

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