エリート脳外科医は政略妻に愛の証を刻み込む
結婚生活を続けるか、それとも離婚するかを選択するのは友里。
まだ結論は出せないが、今は悩んでいる場合ではない。
脳神経外科病棟のカウンターでパソコンに向かっている友里に、「お姉さん」と入院患者が話しかけてきた。
脳動脈瘤の手術で入院し、本日退院予定である村本という中年男性だ。
「退院ね、十二時半にしたわ。よろしく。友人に車で迎えに来てもらうんだよ。待たせるとアレだから、早めに頼むね」
「は、はい」
退院の事務手続きはクラークの仕事である。
必用書類が多く、確認に手間がかかるため、時間指定されると困ってしまう。
けれども友里はできる限り希望に沿おうと、昼休憩も取らずに村本の退院手続きを急いだ。
(あと二十分。急がなくちゃ。でも緊急入院の人のカルテも作らないと。あ、検体も出してって言われてた。CT室からの連絡が十三時頃きそうだし、今日は看護助手さんがお休みしてるから、下膳のお手伝いと……)
まだ結論は出せないが、今は悩んでいる場合ではない。
脳神経外科病棟のカウンターでパソコンに向かっている友里に、「お姉さん」と入院患者が話しかけてきた。
脳動脈瘤の手術で入院し、本日退院予定である村本という中年男性だ。
「退院ね、十二時半にしたわ。よろしく。友人に車で迎えに来てもらうんだよ。待たせるとアレだから、早めに頼むね」
「は、はい」
退院の事務手続きはクラークの仕事である。
必用書類が多く、確認に手間がかかるため、時間指定されると困ってしまう。
けれども友里はできる限り希望に沿おうと、昼休憩も取らずに村本の退院手続きを急いだ。
(あと二十分。急がなくちゃ。でも緊急入院の人のカルテも作らないと。あ、検体も出してって言われてた。CT室からの連絡が十三時頃きそうだし、今日は看護助手さんがお休みしてるから、下膳のお手伝いと……)