エリート脳外科医は政略妻に愛の証を刻み込む
雅樹の丁寧な説明にやっと納得して、患者と家族は相談室から出ていった。
時刻は十六時二十分。
室内には、記録していた外来看護師、佐々木と雅樹のふたりきりだ。
彼女は四十代後半のベテランで雅樹より長くこの病院に勤めている。
子供が生まれるまでは病棟に勤務していたという話を以前、聞いた覚えがあった。
「お疲れさまでした」と先に部屋を出ていこうとしている佐々木が、思い直したように足を止め、雅樹に振り向いた。
「そうだ、先生、ご結婚おめでとうございます。友里さんは病棟クラークなんですよね。私はお話したことはないんですけど、綺麗で優しそうな方ですね」
雅樹は驚いた。
友里との結婚は彼女に頼まれ秘密にしているからだ。
「どこで聞いたんですか?」と問えば、佐々木も驚いた顔をしている。
「私は他の看護師に聞いたんですけど……公にしていなかったんですか? みんな知っていると思いますよ」
「みんな……?」
雅樹の眉間に皺が寄る。
佐々木は、いらないことを言ってしまったと思ったのか、「それでは私はこれで」と、そそくさと出ていった。
時刻は十六時二十分。
室内には、記録していた外来看護師、佐々木と雅樹のふたりきりだ。
彼女は四十代後半のベテランで雅樹より長くこの病院に勤めている。
子供が生まれるまでは病棟に勤務していたという話を以前、聞いた覚えがあった。
「お疲れさまでした」と先に部屋を出ていこうとしている佐々木が、思い直したように足を止め、雅樹に振り向いた。
「そうだ、先生、ご結婚おめでとうございます。友里さんは病棟クラークなんですよね。私はお話したことはないんですけど、綺麗で優しそうな方ですね」
雅樹は驚いた。
友里との結婚は彼女に頼まれ秘密にしているからだ。
「どこで聞いたんですか?」と問えば、佐々木も驚いた顔をしている。
「私は他の看護師に聞いたんですけど……公にしていなかったんですか? みんな知っていると思いますよ」
「みんな……?」
雅樹の眉間に皺が寄る。
佐々木は、いらないことを言ってしまったと思ったのか、「それでは私はこれで」と、そそくさと出ていった。