蒼月の約束
しかし海岸自体はいくつも存在しているせいで、一つ一つ探すしかないと思うと気の遠くなるような作業になりそうだ。
「私も行くよ。何か手がかりになるものが見つかるかもしれないし」
「いや」
エルミアの提案にすぐさま王子が首を振った。
「精霊の書は大きな収穫だ。ここからは、私たちだけでやる」
エルミアは驚いて目を大きく見開いた。
まさか、ここに来ていきなり突き放されるとは、思いもよらなかった。
「え、でも…」
予言が受け取りづらくなっていることが気づかれたのだろうか。
私にも手伝えることが、と言おうとしてエルミアは口をつぐんだ。
王子のスカイブルーの瞳に、悲しみの色が浮かんでいる。
「そろそろ蒼月が来る…」
「え?」
自然に見えるよう顔を取り繕って、王子は続けた。
「次の蒼月まであと数日だ。それまでミアは、ここでじっとしておいてくれ」