蒼月の約束
「珍しいね、何も言わないの」

目の前で暗い顔をしたままのサーシャとナターシャを交互に見つめる。

「どうかした?」

サーシャは下を向いたまま、首を横に振った。

「いえ…何も」

明らかに様子がおかしい。

「大丈夫?」

エルミアはサーシャの顔をのぞき込んだ。

我慢していたのかサーシャの目にみるみる内に涙が溜まっていくのが分かった。

「ど、どうしたの?」

エルミアは慌てて立ち上がり、サーシャとナターシャを椅子に座らせた。

「申し訳ございません。口止めをされているものですから…」

「そっか…。体調が悪いとかじゃないよね?」

「違います…」

安心したエルミアは、リーシャを見たが、リーシャも強張った顔をしていた。

「とにかくお茶飲んで、落ち着いて」

カートに乗せてあった予備のティーカップに二人分のお茶を淹れて、テーブルに置いた。

「さて、私は出かけてくるから」

「どこへ?」

リーシャがすぐさま反応した。



「アゥストリのところ」

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