蒼月の約束
荒い石造りの階段を降りて行き、地下に入った。
そのせいか空気が少し冷たくなる。
やっと肺が空気を取り込めるようになったのを喜んでいるように、少し呼吸が楽になる。
大男が鍵を開けている音がしたかと思うと、さび付いた鉄格子がギイッという音と立てて開けられた。
そのままエルミアはざらついた床に放り投げられた。
「お呼びがかかるまでここにいな。レ―ヴはああ言っていたが、俺は一切食べ物を持ってくるつもりはない。頑張って生き延びるんだな」
気味の悪い歪んだ笑みを顔に浮かると、大男は地響きのような足音を立てながらその場から離れた。
冷たいゴツゴツとした床石が膝に当たり、鉄の匂いが鼻をつく。
よく見えないが、血が出たようだ。
しかし、不思議と痛みは感じない。
レ―ヴの裏切りの方が、心に痛々しく残っていた。
「もう、なんでもいい…」
ここから出られるという保証もなく、唯一の味方だと思っていたレ―ヴには裏切られた。
セイレーンを助けに行くことも、誰かに助けを呼ぶことも出来ない。
無力な自分に出来ることは、一つも残っていない。
エルミアは膝に顔を埋めた。
その時、奥の方で何かが動く気配がした。
エルミアは恐怖で体が硬直した。
何かいるの…?
息を潜めて、暗い洞窟のような地下牢の中で目を凝らすが、何も見えない。
背中に岩が当たり、エルミアは自分が後退していたのに気づいた。
「だ、誰…?」
恐る恐る声を出してみるが、反応はない。
しかしその生き物がエルミアに向かってゆっくりと歩いて来るのが、音で分かった。
「だ、誰なの…?」
これ以上後ろには行けないというのに、岩に思いっきり背中を押し付けて身構える。
ロウソクの光が届くところにその人物が姿を現し、エルミアは大きく目を見開いた。
そのせいか空気が少し冷たくなる。
やっと肺が空気を取り込めるようになったのを喜んでいるように、少し呼吸が楽になる。
大男が鍵を開けている音がしたかと思うと、さび付いた鉄格子がギイッという音と立てて開けられた。
そのままエルミアはざらついた床に放り投げられた。
「お呼びがかかるまでここにいな。レ―ヴはああ言っていたが、俺は一切食べ物を持ってくるつもりはない。頑張って生き延びるんだな」
気味の悪い歪んだ笑みを顔に浮かると、大男は地響きのような足音を立てながらその場から離れた。
冷たいゴツゴツとした床石が膝に当たり、鉄の匂いが鼻をつく。
よく見えないが、血が出たようだ。
しかし、不思議と痛みは感じない。
レ―ヴの裏切りの方が、心に痛々しく残っていた。
「もう、なんでもいい…」
ここから出られるという保証もなく、唯一の味方だと思っていたレ―ヴには裏切られた。
セイレーンを助けに行くことも、誰かに助けを呼ぶことも出来ない。
無力な自分に出来ることは、一つも残っていない。
エルミアは膝に顔を埋めた。
その時、奥の方で何かが動く気配がした。
エルミアは恐怖で体が硬直した。
何かいるの…?
息を潜めて、暗い洞窟のような地下牢の中で目を凝らすが、何も見えない。
背中に岩が当たり、エルミアは自分が後退していたのに気づいた。
「だ、誰…?」
恐る恐る声を出してみるが、反応はない。
しかしその生き物がエルミアに向かってゆっくりと歩いて来るのが、音で分かった。
「だ、誰なの…?」
これ以上後ろには行けないというのに、岩に思いっきり背中を押し付けて身構える。
ロウソクの光が届くところにその人物が姿を現し、エルミアは大きく目を見開いた。