蒼月の約束
なぜか胸がどきどきする。
知ってはいけないような、不安な気持ちと強い好奇心が入り混じった複雑な感情だ。
「それが、分からないの」
ナターシャが、自分の三つ編みをいじりながら言った。
「分からない?どういうこと?唯一の歌姫だったんだよね?」
「正確には、覚えていない、と言うのでしょうか」
サーシャがエルミアを見た。
「実は、今お話したことのほとんどを覚えていないのです。
彼女に関する記憶も全くありません。
彼女が、このエルフの国に存在し、人々を治療してきたという文書は、国王が生前に書き残していたので、私たちはそれを信じているだけなのです」
紅茶のカップを受け皿に置いて、リーシャが言った。
「長い間、私たちの国から歌は消えていました。
そして、ミアさまが歌っているのを聞いて、不安な気持ちになってしまったのです。
また何かが起きるのではと…」
「大丈夫だよ」
エルミアは、まだ暗い顔をしているリーシャに言った。
「私は、その歌姫ではないし。私の歌には何の効果もないから」
「きっと、私の考え過ぎですよね」
ホッとしたような表情のリーシャにテーブル越しから微笑む。
「うん、大丈夫」
しかし、リーシャの不安が的中したと確信したのは、それから数日経ったあとのことだった。
知ってはいけないような、不安な気持ちと強い好奇心が入り混じった複雑な感情だ。
「それが、分からないの」
ナターシャが、自分の三つ編みをいじりながら言った。
「分からない?どういうこと?唯一の歌姫だったんだよね?」
「正確には、覚えていない、と言うのでしょうか」
サーシャがエルミアを見た。
「実は、今お話したことのほとんどを覚えていないのです。
彼女に関する記憶も全くありません。
彼女が、このエルフの国に存在し、人々を治療してきたという文書は、国王が生前に書き残していたので、私たちはそれを信じているだけなのです」
紅茶のカップを受け皿に置いて、リーシャが言った。
「長い間、私たちの国から歌は消えていました。
そして、ミアさまが歌っているのを聞いて、不安な気持ちになってしまったのです。
また何かが起きるのではと…」
「大丈夫だよ」
エルミアは、まだ暗い顔をしているリーシャに言った。
「私は、その歌姫ではないし。私の歌には何の効果もないから」
「きっと、私の考え過ぎですよね」
ホッとしたような表情のリーシャにテーブル越しから微笑む。
「うん、大丈夫」
しかし、リーシャの不安が的中したと確信したのは、それから数日経ったあとのことだった。