蒼月の約束

「申し訳ございません」

最初に口を開いたのは、リーシャだった。

「ミアさまをこんな危険な目に…」

不甲斐なさそうにうなだれるリーシャを見て、エルミアは涙声で首を振った。

「悪いのは、私だよ!私の考えが甘かったの。みんな巻き込んでごめん…」

「最初に、攻撃体勢に入ってしまった私が悪いんです…」

サーシャが暗い声で言った。

そしてとうとう、ずっと我慢していた一番幼いナターシャが泣きだしてしまった。

「だ、大丈夫!ちゃんと帰れるから。きっとアゥストリに話が行ってるはず」

慌ててエルミアが言うが、それでもナターシャの泣き声は止まない。


こういうときに、どうやって誰かを慰めていたっけ?


泣き始めた妹が泣き止むには歌が一番効果的。
ふとそう思った。


亜里沙には通じるけど…。やってみるしかないか…。


自分が悪いと思っているリーシャもサーシャも黙って自己嫌悪に陥っている。

エルミアは深呼吸した。

ふとその時、ナターシャの泣き声が響く洞穴の奥から、別のメロディーが聞こえてきた気がした。


耳を澄まして、音の出どころを探す。

さっきは恐怖を倍増させる効果音に聞こえていた、洞窟内に入って来る風の音。
そして、洞穴の天井から水滴が落ちる音。

不思議と全てが、音楽を奏でているように聞こえ始めた。


そして次の瞬間、パッと頭の中に歌が入って来たのだ。

(この感じ、亜里沙を慰める時と同じだ…)
< 83 / 316 >

この作品をシェア

pagetop