蒼月の約束
「申し訳ございません」
最初に口を開いたのは、リーシャだった。
「ミアさまをこんな危険な目に…」
不甲斐なさそうにうなだれるリーシャを見て、エルミアは涙声で首を振った。
「悪いのは、私だよ!私の考えが甘かったの。みんな巻き込んでごめん…」
「最初に、攻撃体勢に入ってしまった私が悪いんです…」
サーシャが暗い声で言った。
そしてとうとう、ずっと我慢していた一番幼いナターシャが泣きだしてしまった。
「だ、大丈夫!ちゃんと帰れるから。きっとアゥストリに話が行ってるはず」
慌ててエルミアが言うが、それでもナターシャの泣き声は止まない。
こういうときに、どうやって誰かを慰めていたっけ?
泣き始めた妹が泣き止むには歌が一番効果的。
ふとそう思った。
亜里沙には通じるけど…。やってみるしかないか…。
自分が悪いと思っているリーシャもサーシャも黙って自己嫌悪に陥っている。
エルミアは深呼吸した。
ふとその時、ナターシャの泣き声が響く洞穴の奥から、別のメロディーが聞こえてきた気がした。
耳を澄まして、音の出どころを探す。
さっきは恐怖を倍増させる効果音に聞こえていた、洞窟内に入って来る風の音。
そして、洞穴の天井から水滴が落ちる音。
不思議と全てが、音楽を奏でているように聞こえ始めた。
そして次の瞬間、パッと頭の中に歌が入って来たのだ。
(この感じ、亜里沙を慰める時と同じだ…)