幻想館-白雪姫-

未来

顔を上げた美奈の表情は素に戻ったように穏やかであった。



「僕もう行かなくちゃ」



「そう・・・よね・・・もう会えない・・・」


「それはわからないよ」



「勝手な事言ってごめんね」



「さようなら、ママ・・・・・・」



少年は右手を軽く挙げると、スーッと目の前から消えてしまった。



美奈はまた涙が溢れ出した。



もっといっぱい謝りたかった。


自分の愚かさに気づいた時は、既に遅く取り返しのつかない事をした。


罪の償いは何をすればよいのか・・・美奈はもう一人の絶望の中にいる女性を見つめた。



あの人を助けてあげられるのは私だけ・・・・・・。



私は生きなきゃ・・・



美奈の意識がそこで途切れた。




それは現実の痛みを伴う世界へともどされて行く事。
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