幻想館-白雪姫-
「先生っ! 心拍数が正常に戻ってます」



「峠を越したな・・・」




手術中のランプが消えた



如月は立ち上がり、執刀医が出て来るのを待った



扉が開き、執刀医が出て来た。


「先生、彼女は?」



「大丈夫です、峠は越えましたから。
では・・・」



如月は安堵した。




上手くやったな・・・


彼は呟いた。



そして闇の中へ姿を消した。





それから二日後、美奈は回復した。


まだしばらくの間は入院するため、警察は病室で事情を聴く事になった。



如月が病室に入ると美奈は穏やかな表情で挨拶をした。



「どうぞ楽にして下さい」


如月はなるべく負担にならないように話をもっていく。



美奈は意外にも素直な感じであった。


そして事件の確執に話を移したのは彼女の方からだった。



「確かにその人が急に入って来て、私の所に向かってきました」



「それでそばにあった果物ナイフで刺されたんですね」


如月は美奈の顔を見つめた。



少し涙を溜めているような潤んだ瞳。


美奈は驚くべき事を話し始めた。
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