幻想館-白雪姫-
由希奈は刺した相手が死んだと思っていた。



彼女は生きていた。



でも、やっぱり私は犯罪者、それは変わらない。

由希奈はそう思っていた


相手に謝罪をしなくてはならない。




如月と一緒に応接室に通された。


そこにはすでに、女性が座っていた。



由希奈は女性の前に膝をつき謝罪した。



美奈は床に頭をつけて謝る由希奈に対して、頭を上げるように言った。


如月は由希奈を椅子に座らせた。



「落ち着きましたか?」


しばらくして如月は由希奈に尋ねた。


彼女はうつむいたまま小さく頷く。



やがて美奈が口を開く。



「私の方こそ、人の気持ちを踏みにじっていました。子供が出来てしまった事の重圧に耐えられなかった・・・」



由希奈は顔を上げて美奈を見つめた。


彼女の全身に、自分が包まれていた光を感じたのだ。



あの時に見えた黒い影はなかった。




彼女もまた浄化されたのだと思った。



そして二人の傍らには少年と少女が立っていた。



美奈も由希奈もそれを感じとったのだろうか、優しい微笑みを浮かべた。



その光はやがて七色に輝き、少年と少女を包み込み静かに消えて行った。
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