妹を溺愛する兄が先に結婚しました
夕食後。

リビングで乾かしていた鞄の中身を片していると……


「ゆうちゃん。乾燥機見てきて」と母に頼まれた。


制服の乾き具合を見に、時原と一緒に洗面所へ行く。



風呂場で乾燥機をかけていたので、ドアを開けた瞬間にモワッとした重い空気が身体を抜けた。


並べるようにかけられた2人分の制服。

触ると温かくて、湿った感じはない。


「うん、乾いてる」


時原の制服だけを手渡した。


「ありがとう」


「着替えるよね。じゃあ、リビングにいるね」


そう言って、洗面所を出ようとした。



しかし……。


「──っ!」


私が出ていくより先に、後ろからスッと伸びてきた手によって、横開きのドアを閉められてしまった。


背後に気配があって、その気配とドアの間に挟まれる。


「……?」


ゆっくり振り返ると、影がかかるくらい目の前に時原がいた。


「やっぱり聞いていい?」


表情もなく口を開いた時原は、逃がさないようにドアに手をついたまま。


圧迫感のある距離に、私の心臓がバクバクと音を立て始めた。


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