妹を溺愛する兄が先に結婚しました
「な、なに……?」


上目遣いで目を合わせる。



「あいつに何された?」



鋭い声と射抜くような目が届いた。


怖い、と感じないのは……その目の奥に潜む色が悲しげだったから。


どうしてそんな顔をするんだろう。

そして、何を言っているんだろう?


わからなくて、目を泳がせる私。


「キスされたの?」


続く時原の言葉で理解した。



『またキスされたら困るから?』


不意に思い出す折部くんの言葉。


“また”なんて言われたら、一度されたみたい。


だからあの時も否定したんだけど……。


「されてない!」


「……ほんとに?」


「うん!されそうにはなったけど……、こう、咄嗟に手で隠して」


そういえば真相は話してなかったと思い出して、身振り手振りで説明する。


「手の甲には触れたけど、口は阻止した」

と自信を持って言う。



……なのに。


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