妹を溺愛する兄が先に結婚しました
ふと……、

腕組みをやめて。


「じゃあ、これもカウントしないでね」


そう前置きをして。


言葉の意味を理解できていない私の手を(すく)うように取ると、指を絡めた。



……次の瞬間。


「──っ!」



私の手を自分の口元に持っていて……キスをした。



唐突に触れる柔らかい感触。


思わず、ぎゅっと指に力を入れてしまった。



手の甲に唇を触れされたまま、時原の瞳がこちらを向く。


……やばい。

そう思った時には、もう、顔にぶわっと熱が広がった。



これ以上は持たない。


胸の鼓動に全身が支配された感覚に陥って、手を引こうとした。

それより早く、時原の口が離れた。


するりと簡単に抜ける指。


パッと手を離した時原は、


「上書きね」

と言ってドアを開けた。



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