妹を溺愛する兄が先に結婚しました
そんな爽に私が冷ややかな目を送る理由は2つ。


1つは、若干バカにされている気がしたから。


“それくらいのことで緊張するなんて、私はとうの昔に忘れたわ”

とでも言われているような……。


2つ目は、理由がそれだけじゃないから。

むしろ、こっちが本命の理由。


「それもあるけど……」

一度言葉を切って、息を吸ってから口を開く。


「私、もう一度告白をしようと思ってる」


今の気持ちを伝えたい。

そう決めた時から、すでに心臓がバクバクしている。


告白の予定を口にしただけでもこんなに恥ずかしいのに……ほんとに伝えられるのかな。



パァと顔が明るくなっていく爽を見て、机に伏して顔を隠す。


爽は、興奮した様子で

「ほんとに⁉頑張って!」と私の背中をバシバシ叩いた。


背中に痛みを感じながらも、友達に応援されて告白するのは初めてだから嬉しかった。


恥ずかしさと不安。

渦巻く2つの感情と戦う私。だけど、同時に安心感もやってきて、伏していた顔が自然と緩む。


「ありがとう」

呟いた感謝の言葉は、興奮している爽には届かなかった。



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