妹を溺愛する兄が先に結婚しました
「三倉先輩さ。付き合っている時、ずっと『真崎先生カッコイイ』って言ってたんだよね。

それがムカついて、真崎先生が困ればいいと思って結咲ちゃんに近づいた。


俺と三倉先輩が付き合ってるってバラされた時、そんな俺の心を見透かされているみたいで焦っちゃった。


……三倉先輩と別れたのは、先生が結婚するって知った後。

『先生が結婚するって知って、自分が思ってたよりも先生のことが好きだって気付いたの』

って言われてフラれた。

ふざけんなって感じだよね。


それで、先生に復讐するつもりで結咲ちゃんいただいちゃおうかなって」


泣きそうな笑顔を見せる先輩。


ぎゅっと胸が締めつけられた。



「それ、三倉先輩に伝えたんですか?」


「言ってないよ。だせーもん」


先輩はドアに近づいて、ガチャリと鍵を開けた。


「ごめんね、怖い思いさせて。

……あ。俺、嘘ばっかだけどさ、あれは本当だったよ」


「?」


「……『結咲ちゃんの笑顔に癒された』って言ったこと。本当にそう思ってた」


「先輩……」


ドアが開いた音を、俯きながら聞いた。



< 42 / 447 >

この作品をシェア

pagetop