妹を溺愛する兄が先に結婚しました
「ちっ。惚気やがって……。でもさ、イブに家で過ごすって……そういうことになっても覚悟できてるってことだよね?」


さっきまで僻んでいた彼女の表情が一転、揶揄うような意地悪な顔になった。


「……は?」

私は思わず怪訝な顔をする。


「だって、まだキスもしてないんでしょ?ベッドの上でファーストキス、そのまま流れで……ってなってもおかしくないじゃん。時原だって男なんだし」


何を言い出すかと思えば、なんてことを言い出すの!


疲れ知らずの身体を勢いよく起こして、


「ないから!」

と叫んだ。


「えー。まあ、雄みのある時原って想像できないけど……、キスはしたいでしょ?」


「うっ……」


したいと思っていたわけじゃない。そんな恥ずかしい想像できない。

でも、言葉に詰まるのは、否定もできないから。


「うふふ。ま、頑張りな」と言ったその顔は、揶揄って楽しんでいるようだった。



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