妹を溺愛する兄が先に結婚しました
部活が終わって身なりを整えてから昇降口へ行くと、時原が待っていた。


何度も経験しているのに、こういう待ち合わせってその度に緊張する。

嬉しいのに、ドキドキして落ち着かない。


「お疲れ」


時原の隣に立って、覗き見ながら声をかけた。


「うん、お疲れ」


私を見て、僅かに表情を緩めた。

それだけで胸がキュンと鳴る。



なんてことない帰り道。

なのに、時原がいるだけで特別なものに思える。


さらに今日がクリスマスイブだから、特別をもっと飾りつけたように世界がキラキラと輝いている。


時原も同じ気持ちだったらいいな……。


そう思っていた私にシンクロするように、不意に手が重なった。

……違う。手が“重ねられた”。


ビックリして隣を見ると、口元をマフラーで隠す時原が目を細めた。


ほんとにシンクロしたみたい。

言葉はなかったのに、同じ時に同じ想いを抱いていたみたいで嬉しい。


やっぱりクリスマスは特別。


絡むように繋がれた手をぎゅっと握った。



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