バリキャリ課長の年上彼女は、一途な彼に翻弄される
「それはね、私も聞いたんだよ。嫉妬するからって。だけど、それは試してるだけだって。あんなに綺麗な人が、自分に振り向くかゲームだって言ってて。振り向いたら、それで終了。愛してるのは私だけだって」
「ひ、ひどい・・・」
「緑川さんって、美人でモテるじゃない?そんな人を落とすって、ゲームみたいで面白いみたいよ」

そんなことで私に近づいたの・・・
それに相田さんと付き合ってる?
この間の海での言葉も、毎日電話くれたのも、おやすみのメールも、思わせぶりな言葉も、全部、私を落とすためのゲームだったの?
あんなに楽しい時間も、うそだったんだ・・・

「なぁんだ、からかわれてただけなんだ」
私はショックで、このままでは席に戻れず、応接室に鍵をかけ、心を落ち着かせた。
「そうよね、勝手に私のこと思ってくれていると勘違いしていただけなんだ。そういえば、好きって言われたわけじゃない。自惚れてた。馬鹿だ、私・・・」
情けなくて、涙を流しながら、笑いが出てきた。

でも、一緒に過ごした時間は幸せだった。
素直に嬉しかった。
そう思うように気持ちを切り替えよう・・・
「仕事しないと・・・」
あまり戻らないと景山くんが心配する。

涙を拭いて、深呼吸をして、席に戻った。
「緑川さん、どうかしましたか?」
「え、何が?」
「・・・いえ、気のせいです」
「そう」
私は平然を装い、仕事を始めた。
< 50 / 89 >

この作品をシェア

pagetop