バリキャリ課長の年上彼女は、一途な彼に翻弄される
結局話は長くなり、すっかり定時を過ぎてしまった。
「じゃあ、明日も来ますね、吉本さんいいですか?」
「あぁ、いいよ。皆、話聞きたそうだったし、そうだ、明日、飲み会しよう!」
「いいんですか?じゃあ、明日昼前に来ますね。じゃあ、奈織、また明日」
「衛、色々と話聞かせてくれてありがとう。また明日続き教えてね」
「了解!じゃあ、また明日。お疲れ様でした」
衛は、振り返り手を振って帰って行った。

「吉本さん、ありがとうございます。私、席に戻って仕事しますね」
「あぁ、お疲れ様。明日も時間あったら頼むよ」
「はい」

吉本さんと別れ、コーヒーを入れに歩いていると、腕を掴まれて、引っ張られた。
「拓真・・・」
拓真は何も言わず、腕を引っ張り、暗がりの会議室に連れて行き、ドアを締めると、いきなり私の唇を奪った。
突然のことに、私は拓真の胸を押し、体を離して頬を叩いた。
「拓真!何するのよ!ここは会社よ。まして人事課長の私がこんなことしてるなんて、風紀を乱せない立場だってわかってるでしょ?」
拓真は黙って、顔をそむけたままだった。
「見損なったわよ」
私は、怒りをそのままぶつけて、部屋を出て行った。

「緑川さん、二海堂さん、帰ったんですか?」
「うん、また明日来るって。明日、飲み会があるらしいけど、景山くん行く?」
「いえ、僕は営業部の飲み会のノリはちょっと・・・仕事も済ませたいですし。緑川さんは?」
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