バリキャリ課長の年上彼女は、一途な彼に翻弄される
「緑川さん、何回自分の指輪見てるんですか」
「えっ、そんなに見てた」
「見ながらよだれ垂らしていましたよ」
「うそ?」
私が口に手を当てると、景山くんが笑って
「赤星さんと出会う前の緑川さんではあり得ない行動ですね。良かったですね」
「もー!景山くん!」
私は少し頬を膨らませるように景山くんを睨みつけた。
「でも、ありがとう」
「まぁ、僕は指輪してもらってる方が助かるんですよ」
「どうして?」
「取引先との話が進みますから。一瞬だけ見とれても、その指輪見たら諦めるでしょう。指輪見て落ち込む姿は楽しいかもしれません」
「景山くん、怖いわよ」
景山くんは笑いながら席に戻った。

私はしばらく指輪を見ていた。
空一面の星に願った祈りは、きっと届いたんだ。
どうかいつまでも幸せが続きますように。
指輪を見つめながら、願いを込めた。
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