絶体絶命の聖女候補、幼女薬師になってもふもふと聖騎士団をお助けします!
 聖獣と契約。それは、聖なる存在から認められ、加護を受けていることを意味する。

 それを知ったら貴族連中がどういう反応を示すか。今度は、ヴィラムではなくイラリオを次期国王に、と言いかねない。

 少し治まっていた苛立ちがまた募る。なぜあいつばかり周囲に優秀な人間・そして聖獣までもが集まってくるのだという嫉妬にも近い感情だ。

 その後もヴィラムはイラリオからの手紙の内容を説明してゆく。
 それを聞きながら、ふと閃いた。

「そうだな。魔獣が聖獣であるというのは、非常に興味深い話だ。それが本当であれば看過できない」

 カスペルは意図して悩ましげな様子で、そう答える。

「わたしもそう思います」

 イラリオからの手紙を握りしめるヴィラムは深刻な顔をして頷く。

 魔獣と聖獣が同一であるなど、そんな作り話を信じるとは愚か者め、と叫びたい気持ちを必死に抑えた。
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