【完結】甘くて危険な恋の方程式〈捜査一課、女刑事の恋と事件の捜査ファイル〉
やっぱり……冤罪だったんだ。
辰野は警察を恨んでいる。……わたしにも、辰野の表情からそう感じた。
「当時の捜査では、今みたいに技術が進んでなくて、辰野の父親以外に容疑者が出なかった。鑑識の調べでも、物的証拠は全て辰野の父親の物だけだった。父親以外の指紋はなく、辰野の父親以外に犯人はあり得なかったんだ」
小野田課長は、そう言って辰野の顔を見ていた。
「……それで、辰野の父親が犯人だと……?」
「そうだ。辰野の父親は自分はやってないと何度も否定していたが、その証拠からは辰野の父親以外の物は出なかったからだ」
辰野はそのことで、相当警察を恨んでるんだ……。
「他にも怪しい人物はいたが、事件当時のアリバイはすでに確認されていた。……当時アリバイががなかったのは、父親だけだった」
それで、父親は容疑者となった……。
「当時の近所の人の話だと、夫婦仲はあまりよくなく、妻には他に男がいたという証言も出ていたそうだ。 夫婦仲が良くなかったことも、殺害した動機になるとら当時の警察は考えていたようだ」
小野田課長の話を聞くと、その話は理不尽にすら聞こえた。