お姉さん、泣いて


職場についてからも散々で。


寝不足のせいで集中力は落ち、作業効率もそれに伴って低下。
普段なら絶対にしない計算ミスやタイプミスを後輩に指摘される始末。


それに加え、たまたまコンビニに寄ろうと思ったら店に入る手前で激しい土砂降りに遭うんだから今日は厄日に違いない。


すっかりびしょ濡れでお高いスーツが悲惨なことになっている。


もっと言えば、今日の私は不運だけじゃなくて忘れものも多すぎた。


雨の日に入れておくタオルがないのは目を瞑るとしても、社会人として当たり前のハンカチを忘れるのはいかがなものか。
人目を気にしてお手洗いすら十分に行けなかった。


あと、カバンに入っているはずの折りたたみ傘がない。急な雨に備えて常にカバンの中に入れていたものの、使った後に家で干しっぱなしでカバンに入れるのをすっかり忘れていた。


……と、ここまでのことは百歩譲って感情を無にして流すことができる。


だけど、ビニール傘を買おうにも財布がないのは非常に解せない。


いや、昨日の夜に帳簿をつけてそのまま机の上に置いてあるのは記憶にあるけども。
なぜカバンに入れなかったの、私。


よく財布を持たずしてコンビニに寄ろうなんて考えたな……。


そんなこんなで自己嫌悪に苛まれている私は、コンビニの自動ドアから横にずれた店先で大きなため息を漏らした。


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